2015年5月1日金曜日

FACTと自分。その1


FACTが年内での解散を発表しました。僕自身彼らがいなければこうして音楽、特にパンクのようなハードなジャンルにのめり込むことはなかったと思います。GWに特にすることもないので、FACTの思い出を文章にしました。


FACTに出会ったのは2009年。高2だった当時の自分はバンドを組み、地元のライブハウスにちょくちょく出るようになっていた。ライブハウスって行くと大体フリーペーパーが置いてあって、毎回フリーペーパーを持って帰ってきては学校の授業中暇つぶしに読む日々。授業を聞けばいいのに。

で、いつも持って帰ってきてたフリーペーパー(日本のバンドがたくさん載ってて結構ボリュームあるやつ)のある号の表紙が、彼らのセルフタイトルのジャケットになった能面だった。お面かぶってるバンドはもうBEAT CRUSADERSがいたから別に不思議ではなかった。それでも能面って強烈なインパクトがあったし、インタビューの中で海外がなんちゃらみたいな話をしていたのを見て「なんだこのよくわからんけど能面かぶって海外行ったりしてるバンドは!」と興味が湧いて、その日の帰りに横浜のタワレコまでCDを買いに行った。

試聴機にアルバムが入ってはいたけど、あえてそこで聴くこともしなかった。ちなみにこの頃はまだスマホなんて無かったし、家のネット環境もしょぼいものだったから、本当にジャケットとインタビューだけがCDを買うに至った決め手。まともにバイトもしてない中で、よくそんなことやってたなと思う。



家に帰ってCDプレーヤーを引っ張り出して、再生ボタンを押す。1曲目からものすごい衝撃的だったのを覚えてる。高校に入る頃からメロコアを聴くようにはなっていたけれど、スクリームやツーバスの入ったバンドは聴いたことがなくて。それまでに体感したことのないアグレッシブな展開にひたすらゾクゾクしながらあっという間に15曲を聞き終えた。それだけでは飽き足らずもう一周聴いて、次の日学校に行く時もう一度聴いた覚えがある。

ただ我が母校は軽音があんまり盛んではなくて、バンドに興味がある友達も周りにいなかった。だからそれを誰かと共有できることもなく、しょっちゅうアルバムを聴いては「やべえ…やべえよ…」って一人ニヤニヤすることになる。根本は今でも変わってないけれどなんと寂しいことか。



その後それまでにリリースされていたアルバムも聴いてみて、自分は再び衝撃を受けた。セルフタイトルではエレクトロなパートやキャッチーなメロディーと対になるように出てきていたアグレッシブな部分が 、とことん前面に押し出されていたから。作風はまったく違うけれどいろんな音楽、特に自分の聴いたことのなかった相当ハードな音楽を、独自のスタイルでたくさん僕に提示してくれる彼らに、ますますのめり込んでいった。



そうしているうちに自分の中で最も思い入れのあるアルバム、"In the blink of an eye"がリリースされる。前作からかなり短いスパンでのリリース。セルフタイトルに比べたら一見大人しくなって、より多くの人に訴えかけるような普遍性を持った曲たち。でも完全に丸くなったわけではなくて、時折アグレッシブな面が出てくる。そのギャップがたまらなくカッコよかった。

このアルバムがなぜ思い入れのあるものなのか。それはこの頃からちょうど大学受験を見据えて、予備校に毎日こもるようになっていたから。高3の一年間は超極端な生活だった。学校行くか、その帰り道にある予備校に行くかみたいな日々で、冗談抜きにCD屋はおろか、街に一度も遊びに行かなかった。新しいCDを買うこともなく、それまでに持っていたCDを延々リピートして自分を鼓舞し続けた1年間。そのリピートしまくったCDのうちの1枚がこれだった。



特にこのアルバムで好きだったのは"fade"。普段は同じ予備校に通っていた幼馴染と帰ることが多かったのだけど、入試も近づいてきたある日一人で帰ることがあって、その時にたまたま聴いていた曲。なんとも言えない張り詰めた空気が、最後のサビ前のスクリームを起点に爆発し、美しく終わっていく。そんな展開に毎日勉強しかしていなくて精神的にもかつかつだった自分はなぜだかとても心を打たれた。その理由は自分が爆発してしまったら元も子もない中、変わりにFACTが爆発してくれたからだろう、と割と本気で思っている。

このブログのレビューで"じわじわと積み重ねてドンとくる"曲が好きって書くことがあるけれど、そういった曲が好きになったきっかけはこの曲。そんなこともあって、このアルバムを聴くと今でもいろんなことが思い出されてくる。たぶんこれからも当時を思い出したくなったら、このアルバムを引っ張り出して聴くことになるんだろう。

大学受験まででこのボリュームである。続く。

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