2015年7月31日金曜日

【Disk Review】The Story So Far "Self Titled" (2015)

王者の風格。

The Story So Far "Self Titled"(2015)
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もはや説明不要、カリフォルニアのポップパンクThe Story So Farの3rdです。今回もリリースはPure Noiseから。現行のポップパンクの中で絶大な影響力を持つ彼らということで、リリース前からものすごい注目度でしたね。

今回もバンドの基本的なスタンスとしての、音数多くかつストロングなボーカルとツタみたいに絡まるツインギターで聴き手を引きずりこむ、というものに変わりはありません。

しかし全く異なるのがバンド全体の空気感。これまではアルバムを通して押せ押せムードな曲が多かったのですが、今作は押せ押せになるタイミングが激減した印象を受けます。代わりに各パートのつながりが緻密に組み立てられていて、アルバムとしてもバンドとしても深化したと言えると思います。フォロワーと呼ばれるバンドが沢山現れていく中で、オリジナルはもう一歩先を行った、というところでしょうか。



その深化の際たるものとしてあげられるのがリズム。パンキッシュな部分が身を潜め、どっしりと腰を落とした物が主体なのはこれまでにないパターンだと思います。全体的にどっしりと構え、ここぞの場面は全員で縦をあわせて圧を出す、というアプローチがこれまで以上に徹底されていることで、表面的でなく本質的なアグレッシブさを獲得しているように感じます。M-2"Heavy Groom"はこうした一連の新機軸を代表する曲になりそう。 

そしてビックリしたのが最終盤のアコースティック2曲。この2曲がどちらも名曲。今回はこれまで書いてる通り緻密な組み立ての中で進む曲が多かっただけに、極限まで削ぎ落とされたシンプルな曲がすうっと入ってきます。2曲ともバンドでやっても良さそうなのにアコースティックなあたり、どういう狙いがあったのか興味あります。

これまでの彼らが好きだった人似とってはちょっと受け入れ難い場面があるかもしれませんが、表面的ではなく本質的な衝動を聴き手に届ける、さすがの1枚だと思います。ムチャクチャ色んな所に影響を与えそう。

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